レストラン付きのクラブハウス、人工芝、天然芝グラウンドが各1面。
10部の、それも街クラブというより村クラブ(人口7800人)が保有する施設。
文字通り、子どもからお年寄りまでがこの施設を拠点に、生活の一部としてサッカーを楽しむ。
カフェでは昼間からおじいさんとおばあさんが、ビッグサイズのビール片手にピザで会話を楽しむ。
ホームゲーム前のメルセデス・ベンツアリーナ横のサブピッチでは、多くの観客に見守られる中でU19の公式戦。
ボールを蹴る音、人と人がぶつかる音、闘争心や積極性の基準が日本とは全然違う。
球際、ゴール前の迫力、体格や強さが強烈。だけど、しなやかさも抜群。
これがドイツのスタンダード。
お世話になったたかしさんは、コネもカネも何もない若者時代に、文字通り身一つで言葉も文化も異なるドイツへ渡り、想像を絶するほどの努力と苦労と忍耐と意志の強さで、実績を積み上げ、今では名門シュトゥットガルトの大勢いるスタッフの中でもほんのひと握りの、VIPカードや、スポンサーのメルセデス・ベンツから半年に一台自分で車種を選んだ新車を支給されるなど、特別な待遇を受けることのできるVIPスタッフ。
たかしさんや酒井高徳選手と昼食を一緒に摂りながら話したことで一番印象に残っているのは、
『日本人は外にでるべき。日本の良さだけでやろうとしてもダメ、限界があることはもうワールドカップで証明されてる。』
なぜ日本だけではだめなのか?この言葉の奥には、いろんな意味がある。
『外にでるべき』
これはサッカー選手に限ったことじゃない。
枠の中に収まってたら、それ以上大きくなれない。
いつまでも自分たちの良さ(と信じているもの)だけで勝負していては、トップには立てない。
日本での日常は、良くも悪くもマニュアル通りで、安心安全。
便利が当たり前、少しでも不便なことがあれば、苦情と不満。
毎日せかせかと時間通りに動いていさえすれば、工夫する必要も、考える必要もない環境。
この枠の中だけの基準じゃ、今のままじゃ、世界に追いつけ追い越せなんて夢のまた夢。
厳しく、理不尽で、感覚を研ぎ澄ますことや工夫が必要な環境に身を置いて、人間的に成長しないと。
海外に行かなくとも、自分の生まれ育った場所を離れたり、親元を離れて生活したりすることで自分を客観的に見ることができる。
見ようとすること、知ろうとすることは最初の一歩。とても大切。
日本を、生まれ育った地域を、その場所の基準を客観的に見ることができれば、良さも、おかしなところも感じることができる。
例えば、狭い地域では現状維持こそが至上。
枠からはみ出ることや改革は悪で、足並みを揃えなければ異端者。
古い慣習の中で取り残されたツケを子ども達に回してはいけない。
ドイツでは考えるより感じることをテーマに過ごそうと決めていたので、自分を客観的に見る良い機会でした。
普通は入ることができない場所まで案内してもらったり、いろんな方に会わせてもらってお話を伺ったり。
選手達が世界へ出る必要性をあらためて感じました。
日本での日常の枠の中じゃ垣間見ることすらできないものに、直に触れて刺激を受けることができました。
とにかく行ってよかった。
たかしさん、お世話になった方々、言葉では表せられないくらいの貴重な体験をありがとうございました!
次はどこへ学びに行こうかな。