例えば、酒井高徳選手から聞いた話。
高徳選手は子どもの頃、いつもコーチに『下手くそ下手くそ』と言われていて、
それが悔しくて、上手くなりたくて、毎日毎日練習に打ち込んだそう。
ここまで聞いて、
『子どもに向かってそんなことを言うなんて、なんてひどいコーチなんだ!』
『言いすぎじゃないか!子どもが可哀想だ!』
という感性の大人は要注意。
1つのエピソードだけど、これを聞いた時に、高徳選手の強さを感じ取れました。
『俺ダメなんだ、才能ないんだ』と思うか、『よし、やってやるか』と思えるかどうか。受け止め方、捉え方の部分。
日本人は言い訳を用意するのが上手だ。
失敗する前に言い訳を考えて、言い訳を考えついたら、やってみる。
そうした考え方では上手くいかない。
失敗したらどうしようと悩むよりも、成功するためになにが必要か、その準備をしたほうが有意義ではないか。
イビチャ・オシム
本質を見抜く力
可愛い我が子が下手くそと言われて落ち込んでいれば、可哀想にという気持ちは誰でも持つと思います。
それでもこの話の背景に見えてくるものは、指導者がその言葉を敢えて選択した理由、普段からの関わり方、高徳選手の気質、親御さんの協力。
周囲の大人がそこをすっ飛ばして目の前の現象だけに囚われて反応してしまっては、子どもは伸びるどころか、成長の芽を摘まれることになります。
子どもが可哀想、コーチが悪い
ケース①
『可哀想に、それはコーチが悪い、ひどい。』
と親が反応した場合。
子どもの受け止め方は、
『自分はコーチにひどいことを言われた被害者で、悪いのはコーチだ。自分は悪くない。』
今後何か自分にとって不都合なことが起きた場合、親を味方につけようと自分を正当化しようと内容を少し大袈裟に話すことを身に付けます。
新しく何かを始めたとしても長続きしない、すぐに辞めてしまう(辞めさせてしまう)のがこのタイプ。
肯定も否定もしないで聞く
ケース②
『へーそうなんだ。(肯定も否定もしない)、じゃどうすればいいかな?』
と親が尋ねた場合。
子どもは自分の話を聞いてくれたことに納得して、下手くそと言われない方法を考えます。
『もっと練習して、すっげー上手くなればいいと思う!』
このようなやりとりを積み重ねれば、常にもっといい方法はないかと探って工夫する習慣が付きます。
子どもは誰かに『やれ!』と言われなくても、自分で出来る方法、乗り越える方法、解決方法を見付けて実践出来るようになります。
コーチ完全肯定
ケース③
『そんなの言われて当たり前だろ、お前が下手くそなんだから。』
『自分がやりたくて、やらせてもらっているのに何をゴチャゴチャ言ってんだお前は。』的な。
話を聞く前から、コーチ完全肯定。
実はうちの親はこのタイプ。
これ言われたらもう、
『くっそー!親に泣き言なんて言うんじゃなかった!』
『ちょっとは味方してくれるかと思った自分が甘かった。』
と、何があってもやり遂げるしかない習慣が付きます。笑
諦めが早く、逆境に弱い子ども
可哀想に、とかばうことが子どもの成長にマイナスになるということもあると思います。
俺ダメなんやと諦めが早くて逆境に弱い人間になってほしいのか、やってやると粘り強くてしぶとい人間になってほしいのか。
子どもをダメにするのも、成長させるのも周囲の大人の物事の考え方、捉え方、関わり方次第。
大人の基準が変化すれば、子どもの成長度合いも大きく変化すると思っています。
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