メンタルトレーニング講習会

メンタルトレーニングコーチの大儀見さんに来て頂き、リオのアカデミー生対象として、目標設定とセルフコントロール(自己統制)について講習をして頂きました。
また、選手だけでなく、リオの保護者対象に「子供やコーチに対する保護者の関わり方」ということで、子供にしていいこと、悪いこと、コーチ(クラブ)にしていいこと、悪いことを分かりやすく説明していただきました。

「目標設定」では、やる気を出す方法、それがメンタルトレーニングの基礎となる「目標設定」のプログラムということで、普段何気なく使っている「やる気」という言葉の意味から確認。
まずは、やる気とは?から始まり、それは動機付けということで、やる気を高めるためには目標を設定することが大事ということの確認から講習がスタートしました。

大儀見さんはいいます。
「目標をしっかりイメージして、目標と現実とのギャップを認識すること。その上で、「このままじゃヤバイ」という感覚を自分自身が持つこと。
設定する目標は高いほうがやる気が出るのだが、もちろん高すぎてもいけない。実証研究によれば、110%の達成度を目標にセットした時に、人はもっとも成果が出る。」
「目標設定は、ゴールへの道筋を作ることなんです。ゴールへ到達する方法がわかれば、自然とやる気も高まっていきます」
「プロ選手になりたい」という目標があったとして、なんとなくイメージしているだけではやる気は高まらず、何をしていいかもわかりません。そこで、「プロになる」という目標から逆算して考え、10年後、5年後、4年後、3年後、2年後、1年後、半年後、3ヶ月後、1ヶ月後、来週、今週、今日と目標をたてます。それが「目標設定」です。目標にも長期、中期、短期とあり、それらをクリアしていくことで、最終的な目標に到達するイメージを持ちます。
それぞれ立てた目標が、迷路の矢印に当たるものです。つまり、将来的な目標を達成するためにどうすればいいかという、中期、短期の「道しるべ」なのです。それを日々、意識することによってやる気が出て、練習やプレーの質が高まっていきます。

選手の耳にすっと入っていく軽快な口調であっという間に2時間がたちました。
具体的に、やる気を高めるためには110%目標をたてると結果に結びやすいなんてことも教えてくれました。

2日目行った「セルフコントロール」。
セルフコントロールとは、自分の感情や行動を自分で制することという意味です。
自分のプレーがうまくいかなくイライラしてしまうことがあると思いますが、そういう場面でいかに冷静さを保ち自分をコントロールできるか。
セルフコントロールを行うためには、決断力、忍耐力、持続力などの能力が必要とされます。
自分自身をいかにコントロールできるかが、自分をいかに成長できるかに繋がります。
気持ちを切り替えるテクニックとして、「姿勢」、「深呼吸」、「セルフトーク」の3つを選手は学びました。

以下、選手の感想を抜粋。

・「準備=自信」ということ。緊張が取れないときはサイキングアップなどの準備をすれば落ち着いてプレーできるということが分かりました。長友選手のように大きな目標をつくり、その間に小さな目標をつくっていいと言っていました。

・目標を達成するためには、自分に自信を持つこと、コーチや他人の意見もプラスに変えることだと学びました。

・目標設定はやるべきことを明確にしてやる気をあげる心理スキルと聞きました。僕はプロセス目標を決めました。僕が書いたプロセス目標をできるように心を鍛えたいと思いました。

保護者の部では、大儀見さん自身がコーチやプレーヤーとして経験したことを交えながらたくさんのことを保護者の皆さんに伝えていただけました。

「実力はあるのに、伸び悩む子どもは、親と指導者の間で板挟みになっているケースがすごく多いんです。親がコーチの指導とは逆の意見を押し付けたり、指導内容を否定する言動をとると、子どもは親とコーチのどちらの言うことを信用すればいいんだろう?と迷ってしまい、それがプレーの迷いにつながってしまうことがあります」

「親は子どもの『いまのプレー』を見て、よかった、悪かった、こうすればいいのになど、様々な意見を言います。しかしコーチの多くは、子どもの『いま』だけではなく、将来の成長の姿を見据えて指導をしているものです。極端に言うと、将来の成長のために、いまはあえてミスをするような、難しい課題に取り組ませていることもあるわけです。そこを理解していない親が、目の前のプレーだけを見て、できた、できなかった、いい、悪いを判断するのは危険なことですよね」

練習や試合に駆けつける、熱心な保護者はたくさんいます。そこで、「自分の子どもだけでなく、チームのサポーターになってほしい」と大儀見さんは言います。「保護者とコーチが『子どもたちの成長のためにどうすればいいか?』という視点で共通理解を持つこと。まずはそこから始めてみると、よりよいサポート体制が作れるはずです」
「自分の子どものことだけでなく、チーム全体のことを考えると、コーチの悪口を言ったり、我が子のことばかりを考えて、周囲に迷惑をかけるケースも減るのではないでしょうか。それが結果として、自分の子どものプラスになると言えます。」

「できた・できないという結果をほめると、できればOK、できなければダメという『結果思考』になってしまいます。それはときに、『どんなことをしても、結果さえ出ればOK』という考えに陥りがちです。成長段階にある子どもにとって、それはあまりよくない考え方ですよね。そんなときは『できたね、すごいね』と結果をほめるのではなく、『なにをしたか、なぜそれをしたか』などの、結果を出すために努力した過程をほめれば、天狗になることはなくなりますよ」。

以下、参加された保護者の方の感想より抜粋。
・つい先に答えを出してしまうことが沢山あり、一呼吸おいて・・・頑張っている息子・仲間たちを見守っていけるように私もともに成長できるようにやってみます。

・褒めることよりミスしたことを言っていたように思います。これを機に子供に対してポジティブな会話をしていきたいと強く感じました。

・正直どう接するのがいいか悩んでいました。「心・技・体」リオに入ってからこの言葉の意味がよくわかりませんでしたが、新人戦での中学生の技を見たときの感動や、今日の心の話を聞いてコーチたち(リオ)の想いが理解できました。
子供がコーチや友達を信頼しているように親も子供やコーチを信じて任せるべきだと思いました。
外側から温かく見守っていきたいと思います。

選手や保護者の皆さんが今回の講習でたくさんの事を感じ、そのことを日常に活かしてくれれば幸いです。
次回は、来春ぐらいにまた企画したいと思っています。

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