近年、ジュニアの試合会場にできるだけ足を運ぶようにしています。
とても残念な状況に、出くわすことがあります。
サッカー関係者、指導者、保護者、どれだけの人間が危機感を持っていることでしょうか。
『試合前後に選手達に張り付き、あれやこれやと世話を焼く。
右だ左だ、大きく蹴れ、早くパスを出せ、とサイドコーチングし、審判の判定に大声で文句をつける。
勝っているときは選手以上に盛り上がり、劣勢になれば怒号を放つ。』
『時間がかかっても、準備から後片付けまでがサッカーだと、自分でやる習慣を身に付けられるように手や口を出さない。
子どもの選択を邪魔しない、良いプレーにはどの選手にも惜しみない拍手を贈る。
理不尽もサッカーのうち、悔しかったら次どうするか考えて頑張ればいいよと温かく見守ってくれる。』
自分が、大好きなサッカーを頑張っている子どもだったら、どちらの大人に応援して欲しいですか?
サッカーを通じて、子ども達が学ぶことは多くありますが、実は、我々大人が子どもから学ぶものがなんと多いことか。
練習中、試合中にかかわらず、一旦ピッチに入った場合、子ども達は保護者の手は必要としていません。
困ったことがあればどうすればよいか解決方法を考え、解決できたりできなかったり。
それでも、成功、失敗、全ての経験を次に活かすことができます。
U12リーグは2チームで参加。
選手を固定せずにA,Bを入れ替えながら、色んなポジションを経験してもらいました。
ポジションを固定したほうが選手はやりやすいだろうし、例えばチームとしての結果も出やすいかもしれませんが、あえてこのリーグはそうしました。
意図的に混乱を起こしながら、いろんな経験をさせながら、この年代では簡単に蹴らないサッカーを実践しています。
テクニックやアイディア満載のサッカーをやるために、まだまだこだわらないといけないことが山積み。
たまに、聞かれます。
『どうして勝ちにこだわらないんですか?』
勝利至上主義でなく、勝利主義なんです。負けて得るものよりも、勝って得ることの方が大きい。選手時代を考えるとそれもすごくわかります。確かにそんなタイミングもあります。
勝ちやすい手法を取っていないので、観ていて歯がゆいと思われる方もいらっしゃるのでしょう。
もちろん選手には目の前のワンゲームワンゲーム、絶対勝つという気持ちを持ってやってほしいし、順位にもこだわってやってほしいと思っています。
試合に勝てば選手と一緒に喜ぶことももちろんあります。
ただ、今大人が表面的な知恵と手法で簡単に勝たせたところで、何の意味もないのです。
負けないことも大事。
能力や可能性の芽を摘まないことは、もっと大事。
子ども達にはもっともっと大事な、磨くべきことがあります。
習慣、価値観、イマジネーション、柔軟な思考、選択肢を多く持つこと。
どんどん挑戦して失敗して、悔しくても辛くても立ち上がって、考えて判断して修正して、前へ進む意欲。
どれも時間を掛けて、周りの大人が良いサポートをしなければ、身に付かないものばかりです。